卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)※良性卵巣腫瘍
卵巣のなかに、液体成分がたまってはれている状態の嚢胞性腫瘍です。婦人科臓器に発生する腫瘍のなかで、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)と並んで最も発生頻度が高い腫瘍のひとつです。ほとんどが良性ですが、卵巣はおなかのなか(腹腔内)の臓器であるため、正確には手術で摘出して病理検査をしてみないと、絶対に良性であるとは断言できません。 卵巣嚢腫(良性卵巣腫瘍)にはいくつかの種類があります。
- ・漿液性のう胞腺腫(しょうえきせいのうほうせんしゅ)
- 嚢胞内部に黄色い透明な液体がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約25%を占めます。
- ・粘液性のう胞腺腫 (ねんえきせいのうほうせんしゅ)
- 多房性の嚢胞性腫瘍で、粘稠性のある液体が中に含まれまれ、卵巣嚢腫の約20%を占めます。
- ・皮様のう腫(ひようのうしゅ)
- 嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などを含んだ腫瘍で、大きさは通常、直径10cm以下で、卵巣の両側に発生することもあります。良性の卵巣嚢腫のなかで最も頻度が高く、その半数以上を占めます。
大部分は20~30代に発生します。そのため、妊娠中に発見されることもあり、その場合は妊娠初期に手術を行うこともあります。また、嚢胞内部に皮脂、毛髪などを含んでいるため、腹部X線検査でこれらが写って発見されることもあります。